1. プレス成形形状事前予測が製品開発のカギ
プレス金型を製作する上で、スプリングバック等の形状問題を中心としたプレス成形過程で発生する不具合は、その対策のために多大な金型修正工数を必要とするだけではなく、国際競争激化の中で製品開発期間短縮及び低コスト化を推し進めるにあたって大きな障害要因となっています。
本事例は、金属板材料のスプリングバック挙動を高精度に解析するための新たなアルゴリズムが導入された弾塑性FEM「TP-STRUCT」を使用したU形管成形用金型設計検討例です。
2.解析条件
(1) 材料条件
本解析では、下図(図1)に示すように平面歪み問題及び軸対称問題として、材料幅10mmで両端面拘束かつ対称軸に対して半分の材料で解析を実施しました。
材料サイズ: | 長さ26.3(=52.6mm/2)×幅1.0mm×板厚1.6mm |
材質: | A5182相当 |
要素: | 6面体ソリッド要素 (節点数:7182、要素数:5280) |
(2) 境界条件
(3) 材料と工具の関係(成形工程概要)
本解析では、図面データ(DXFファイル)をもとに、各工程の上・下型等工具形状を作成し、図2に示すように各工程での成形加工及びスプリングバック解析を実施しました。なお、使用した工具はすべて剛体と仮定して解析を実施しています。
3. 解析結果詳細
以降は、各成形工程時の材料変形過程です。
「TP-STRUCT」では、その他の解析結果資料として、各成形段階での伸び歪分布・応力分布・工具との接触状況変化等さまざまな物理情報を示すことが可能です。